■砂短白書~代償とその先②~
前回までの記事
しぶしぶながら承諾してくれた「淀ちゃん」。
しかし
趣味の延長戦上にある「馬券理論の証明」。
情報発信しているものの、自らが楽しむ側のスタンスを取っているウェブサイトに、収益化を目指した明確なモデルはあるはずもなく
今後、「淀ちゃん」に訪れるであろう経済面での負担を想定した上で
合理的に「お金を渡す口実」を探したが正直なところ。
お互いがWIN-WINであることで、合理性を明確にし、本心を隠した結果がこれでした。
人の嘘を見抜くのは特定であっても、自分の嘘は分かりやすい。
そう分析しつつも
筒抜け覚悟で具体的なお手伝いの内容を説明。
①予想に必要な日々のデータ収集
②ウェブサイトの更新作業
③SNSによる広報活動
④指定したデータの分析
⑤収支管理
基本的に空いている時間を使い、指定する期限までに完了することが条件。
必要なPC、ソフトウェア、回線環境はこちらで用意。
在職中の給与には及ばないが、それなりに設定したつもりの「月極め定額の報酬」。
スキルを生かせると喜んでくれました。
見慣れないデータや競馬用語を勉強しながら日々格闘。
広報をしながらも、SNSを通じて交流も増え、コミュニケーションも自ら取るように。
以前より明らかに元気になった「淀ちゃん」。
結果オーライとは云え
「頼んで良かった」
本心からそう思っていました。
それからしばらくして、普段は大手上場企業のエリートサラリーマンで、諸々のエキスパートの「江戸ちゃん」もチームに加入。
システムもコンテンツも格段に進歩。
ユーザー様も増えて、的中報告や御礼をを頂くことも多くなり、気付けばブログランキングも上位に入るように。
「チームの雰囲気も良い」
「ユーザー様ウケも悪くない」
良い流れをもっと良くするために。
チームの連携や利便性を考え、スタッフが行き来し、交流出来る場所。
「淀ちゃんの住処」を改装し、「砂短ラボラトリー」をオープン。
素晴らしいアーティスト様との出会いもあり、動画制作部門も立ち上げ、念願のYouTubeコンテンツも配信。
情報発信の選択肢は更に広がり、活動を後押しするかのように、一般的なアフィリエイト以外にも広告代理店様との直接取引も始まり、広告収益だけで運営費用の一部を賄える規模になっていました。
「競馬道楽も軌道に乗ったな」
そう思いながら「砂短ラボラトリー」へ訪れた時のこと。
インターホン越しには元気の無い「淀ちゃん」の声。
「徹夜明けかな」
それ以上は特に気にすることなく、いつも通りエントランスを抜け、エレベーターを上がり「ラボラトリー」へ。
ドアが空いているのはいつものこと。
部屋に入ると
カーテンは閉切り、明かりは間接照明とモニターだけの薄暗い部屋。
三宅アナの解説が流れ、モニターからは「園田競馬」のレース中継が映っている。
モニターが連なるロングテーブルの奥に目をやると
マウスを握る手は震え、泣きながらモニターを見つめる「淀ちゃん」の姿がありました。
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